「ひみつ道具」から10年後を妄想して、未来をつかむ。

もしドラえもんの「ひみつ道具」が実現したら タケコプターで読み解く経済入門

もしドラえもんの「ひみつ道具」が実現したら タケコプターで読み解く経済入門

 『もしドラえもんの「ひみつ道具」が実現したら タケコプターで読み解く経済入門』を読んだー。
 もしドラえもんのひみつ道具が実現した場合、経済がどう変化するか。どこの会社が成長して、どんな新製品が出てくる可能性があるのか、そんな一見、荒唐無稽にも見える事柄を真面目に考えてみた本。
 読んでいて似てるなーと思った本は、村上龍さんの『あの金で何が買えたか』。方向性は未来と過去で逆だけど、荒唐無稽さは似ている。金が/物があれば、未来が変わる。未来がどう変わるのか、妄想力で捉えてみる。
 作者もあとがきで書いているけれど、作中で示されているのは単なる一例。作者が考えたもし「〇〇」が実現したら。もし宝くじで100万円当たったらどうするー?(貯金以外で)と聞かれて、同じ答えが出るとは限らない。ある人は自分を鍛えるために使うだろうし、ある人は一晩で散財するだろう。またある人は募金なんて選択肢を選ぶかもしれない。ホリエモンだったら、端金イラネっていうかもw 
 いろいろな読み方ができる本だ。どっちかというと読むことよりも、読んで何を考えるかのほうが重要かもしれない。いろんな仮定を妄想して、5W1Hを変えていくだけで、いろんな設定を考えることができる。子どもの頃はもし自分が勇者だったら〜みたいなことを考えていたものだが、それに近い。
 ただ、これはフィクションではなくノンフィクションに近いということを意識したい。作中で示されている視点は荒唐無稽なひみつ道具が現代に登場したらどうなるかだが、現実に即して考えればまったく荒唐無稽ではない。
 つまり「もしタケコプターが実現したら」と「もしiPadが世の中に広まったら」にさしたる違いはない。ただ、3年前なら「iPadが実現したら」だったのが、実現しちゃったので「世に広まったら」に変化しただけ。
 パソコン、携帯電話。世界は変化を続けている。世の中を渡っていく為には、新しい製品が出てきたときに世界が/自分が/誰かが/経済が/社会が/〇〇がどう変化するのかを妄想し、あわよくば実現していくことだ。必要なのは妄想力のトレーニング。妄想すれば楽しい。実現に向けて動けば更に楽しい。
 別に妄想の種を「ひみつ道具」に頼る必要はない。世の中には日々、新製品、新サービスが溢れているのだ。それを使って妄想すれば、更に小金も稼げるかもしれない。世界は広がっていく。どんな新製品も製作者の荒唐無稽な妄想から始まっている。世界は妄想でできているのかもしれない。