この夏の最高傑作!!!――「ホッタラケの島 〜遥と魔法の鏡〜」  監督:佐藤信介

ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~オリジナル・サウンドトラック

ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~オリジナル・サウンドトラック

 エヴァ・破も観たし、「サマーウォーズ」も観たけれど、この夏の最高傑作。エヴァと「サマーウォーズ」に癖がありすぎて比べにくい部分もあるけれど、子どもから大人まで万人に受け入れられる作品ならば「ホッタラケの島 〜遥と魔法の鏡」がこの夏の最高傑作に最もふさわしい。
 物語はよくある不思議な世界に迷いこむもの。似たような話はたくさんあるから、そのひとつを思い浮かべてもらえば間違いない。描かれる世界は人々がホッタラケにしたものを集めた極彩色の世界。そこをプロダクションI.Gが得意とする動きで演出する。物語はシンプルながら、世界観の素晴らしさと行きつく暇も与えない展開で魅せつける。
 日本の3DCG映画は欧米に遅れているといわれるが、これをみるとそんな意見なんか鼻で笑ってしまう。十分にピクサーやドリームワークスに太刀打ちできるレベルだ。2Dと3Dの合成技術も見事で、日本の技術でここまでできるのかと改めて感心した。
 ただ残念なのは、この作品に集客が見込めないことだ。オタ層については、萌え作品でも、有名監督でも、原作ものでもない作品をみようとはしない。目玉のファミリー層についても、プリキュアポケモンを差し置いて、ディズニーでも、ドリームワークスでもない国産の作品をみようとするかといえば、難しい。現在、製作会社の名前で客が呼べるのは、残念ながらジブリだけだ。
 興行的には振るわないとは思うが、プロダクションI.Gにはこういう作品をつくり続けてほしいと切に願う。もし3DCG映画という大きな武器を手に入れることができれば、プロダクションI.Gとしても、日本アニメとしても本当に大きな財産になる。
 あと、できれば今後、女子高生を登場させるときはぜひともスパッツ着用で。3DCG映画であそこまでパンチラをいれちゃうと、いろんな意味で問題でしょうから。