『放課後『マンガの作り方』プレイ』レビュー

 最近読んだ気になる二冊をレビュー。
 

 これは凄い人が出たなー。エロマンガを書くための基礎的能力をここまで抜群に備えておきながら、ここまで素晴らしい四コマを描くとは。キス描写だけでここまで濡れさせるマンガを私はしらない。
 黒と白のモノトーンがかなりいい味を醸し出している。少年の服装が学ランなのはいざしらず、彼女の服装も黒で統一されていて、これまた黒色のハイヒールがよく似合う。
 基礎的なマンガのデザインができあがっているから、安易な萌え系に走らなくてもキャラクタを立たせ、世界観を楽につくりあげることができる。また、トーンを使用しないシンプルな作品なので、斜線を顔に引くだけの頬を染めている表現も効果が増大している。
 ここまでいっているのにもか関わらず、エロはまったく描かず、キスのみに抑えている。それがこの作品の焦らされ感を更に強化することになり、読者を更なる悶えの世界へ誘っていく。
 エロマンガか!というツッコミはエロを描かずしてエロマンガのテイストを抽出したことに対する最高の賛辞だろうな。ある種のエロマンガのおもしろさが確かにここにあるもの。エロマンガを読んだことがない人は必読かも。
 
まんがの作り方 (1) (リュウコミックス)

まんがの作り方 (1) (リュウコミックス)

 百合作品としては発展的でおもしろいんだけど、漫画家マンガとしてはタイミングが悪かったなーとは思う。このタイミングで出すと、どうしても「バクマン。」と比較されちゃうからね。
 「バクマン。」と比較するとマンガの掘り下げかたと、プロである主人公二人のゆるゆる感にちと違和感を抱く。もちろん、熱い漫画家ばかりではないだろうが、ある種の危機感が足りないとどうしても思ってしまう。
 これが同人が舞台だったら、ゆるゆる感もちょうどいい味わいになってよかったかもしれない。タイミングが悪かったとしかいいようがないが、ちと残念。
 百合としてはスタンダードな大人の百合かな。萌え系の作品ではないのと、百合が流行といいきったのはおもしろかった。帯の「漫画家と漫画家で百合ですけど何か?」っていうのも喧嘩を売っているっぽく聞こえるし。
 アフタヌーン連載の「オクターブ」を除けば、このジャンルは百合のなかでも案外未開拓なので、是非とも頑張っていただきたいところ。ゆるゆるとした日常じゃなくて、ちゃんと漫画家になった二人がみたいとちと思う。