ナツ100 2008が終わったので、連載マンガ十傑を考えてみる。
2008年のナツ100が終わりました。結果は2008ナツ100 結果発表 1〜100位 - 酔拳の王 だんげの方で発表されています。
同時に来年のナツ100のテーマも発表されました。来年のナツ100は連載マンガだそうです。ということで、先取りして、来年のナツ100に答えたいと思います。
追記:と思っていたら年末に…orz
えー、単純に来年だと終わっている作品もあるだろうし、来年と今年の比較をしてみると面白そうだということでやってみる次第です。実際にここで選んでいるなかで半数くらいの作品が、この一年くらいでみつけてはまった作品なんで、来年は全然違う作品になっている可能性もあるかと。というか、なっていて欲しい。
単行本で追っている作品をいれると把握しきれなくてわけわかんなくなるので(月刊誌までならともかく、季刊連載、不定期刊行までいれると…)、雑誌である程度連載を追っていることを前提とします。
来年のシステムがどうなるかはわかりませんが。100作も連載を終えないので、今回は十傑で。単行本の巻数は2008年10月末時点での換算になっています。
「ONE PIECE」51巻 尾田栄一郎 著 週刊少年ジャンプ 集英社
- 作者: 尾田栄一郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/09/04
- メディア: コミック
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ドラゴンボールから受け継がれた熱さ、純粋な戦闘のおもしろさと同時に、読者の度肝を抜かせる設定や、ストーリー展開が最大の読みどころ。これだけ長大な連載にあったとしても、子どもから大人まで純粋に楽しめる品質を維持し続ける作風は素晴らしいとしかいいようがない。
作品としてのおもしろさが頂点を極めたアラバスタ編以降、物語の深さを追うばかりに長大化してしまっているのが残念だが、それでも読み応えという点ではこれを超える作品はほぼないといっていい。
月刊誌ならば、これくらいのクォリティの作品は(それでも数少ないとはいえ)存在するが、週刊連載でやってのけるのは脅威としかいいようがない。毎週、毎週、どんな度肝を抜く展開が待っているのか、最終ページをみるのが楽しみでしかたないのだ。
「鋼の錬金術師」20巻 荒川弘 著 月刊少年ガンガン スクウェア・エニックス
- 作者: 荒川弘
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2008/08/22
- メディア: コミック
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「鋼の錬金術師」の最大の魅力は2人の少年の成長譚であることだ。無論、多重に仕掛けられる物語の伏線や、容赦のない展開も魅力のひとつではある。だが、それを受けて、アルとエドが何を感じ、どう成長していくかがいちばんの読みどころとなっている。
この作品は「人気」という意味での頂点はテレビアニメ放映時に過ぎてしまっただろう。だが、連載の頂点は未だどこだかわからないくらいに凄まじい。ここが作品の頂点だろうと思い、読んでいると次の月にはそれを超える展開が待ち受けているのだ。
「ONE PIECE」の欠点に週刊連載であるが故に、多数の伏線が整理しきれていないことがある。だが、「鋼の錬金術師」は月刊誌であるが故にその欠点も発生していない。読みやすさ、読み応えともに当代壱であると、有無をいわさずに断言できよう。
「惑星のさみだれ」6巻 水上悟志 著 ヤングキングアワーズ 少年画報社
- 作者: 水上悟志
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2008/10/29
- メディア: コミック
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毎月の展開がありえない。普通の作品が単行本を一巻かけて描くものを、一話で語りつくす。しかも、雑に語るのではなく、必要な部分をきっちりと盛り込んだ上で他の作品以上の迫力と重度のある作品で勝負している。
なんといっても展開の速さがすごすぎる。表現されるキャラクタの感情が強すぎる。練りに練られた作品の構成が凄まじすぎる。これだけの物語をひとつの作品を構成するにおいて必要な要素だけを描き出している。無駄な要素などひとつもない。だからこそ、他の要素が邪魔をすることなく、作品のエネルギーが真正面にこちらに伝わってくる。
水上悟志は作品を語る上で最低限必要なものは何か、自分が語る為に最低限必要なものは何かを十分すぎるまでに理解している。そして実行している。普通は理解はできても、実行はできない。それは保険をなくすということだからだ。自分の描く作品のパワーを本当に信用していなければ、こんな作品を描くことができない。しかし、だからこそ、圧倒的なまでに、おもしろいのだ。
「HUNTER×HUNTER」26巻 冨樫義博 著 週刊少年ジャンプ 集英社
- 作者: 冨樫義博
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/10/03
- メディア: コミック
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最大の欠点はいうまでもなく、休載。1998年からの連載で現在26巻。一年前の1997年から始まった「ONE PIECE」が現在51巻。翌年の1999年からはじまった「NARUTO」が現在43巻であることを考えるとどれだけペースが遅いかがわかる。いうまでもなく、通常の連載として考えれば、異様。
だが、冨樫にはそれを許される唯一の理由がある。確かに週刊誌としては異例の一年もの期間休載していたこともある。最近は連載の頻度よりも休載の頻度のほうが多い。だが、仕方ないじゃないか。作品自体がおもしろいのだから。
10週にわたって描かれる物語は他を遥かに凌駕する。他の作品で描かれるものの先の先まで見据え、物語の深い部分を鮮やかに描き出す。その手腕はまさに見事というしかない。どれだけ優れた作品でも他の作品が陳腐にみえるほどだ。
最強の作品に、最大の欠点。読者がどちらを評価し、読むか、読まないかは自由だ。だが、いつになってもいい、最大の欠点はこの作品をきちんと読んでから評価して欲しいと私は思う。この作品は限りない休載に値する。
まぁ、単行本だけでだせばいいとか、月刊誌で連載すべきでは、なんて意見には、そのとおりだ!としかいえないのも、また事実なんだけれども。
「もやしもん」6巻 石川雅之 著 モーニング 講談社
- 作者: 石川雅之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/02/22
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「美味しんぼ」の例を出すまでもなく、マンガは比較的薀蓄がエンターテイメントになりやすいジャンルなんですが、それが真っ向から成立してしまっているのが、この作品の凄いところ。日常のありとあらゆるものに潜む発酵をテーマにし、それを学生生活と掛け合わせて描き出す。
学生生活の描き方も素晴らしい。沢木や美里、川浜などの普通にいそうな学生加えて、教授である樹や金持ちの娘で院生の長谷川などがどたばたを巻き起こす。農大の描き方もそんなのありえないだろうと思いながらも、ギリギリのところで現実感を保つ大学の描きかたをしている。学祭の描きかたなどはまさにそんな感じ。でも、樹先生の薀蓄がないとなんかつまんないのよね。
描かれている内容のメインは酒だったりしますが、下戸でも十分楽しめます。かくいう私も下戸ですので。18歳が飲酒をしていることについては、フィクションですから(笑)。
「よつばと!」8巻 あずまきよひこ 著 電撃大王 アスキー・メディアワークス
- 作者: あずまきよひこ
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2008/08/27
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描き出されるよつばの姿はそれくらいリアル。あくまでキャラクタで、一見すればヲタ作品のキャラクタくらいのデフォルメ感が漂うにも関わらず、リアルだ。とーちゃんや周りの人々もみんなやさしくて心地いい。ある意味で、理想の生活を描いている作品。リアリティがないという意味でいえば、よつばの周りの人々にこそ、リアリティがなかったりする。
まぁ、単純に子どもに振り回されるどたばた作品として読むのがいちばんいいかと。ブラックな部分も皆無ですから、誰が読んでも読みやすい。コマ割なんかも工夫されていて、デザインも最上。里見さんのデザインは漫画界では随一。
「ささめきこと」3巻 いけだたかし 著 月刊コミックアライブ メディアファクトリー
- 作者: いけだたかし
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2008/09/22
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それでも百合の雰囲気は凝縮しているので、これがおもしろくなければ、百合に対す耐性はないのであきらめたほうがいいかもしれない。百合の入り口としてはこれ以上の作品は他にない。
恋愛関係を描く百合と同時に、学園生活の描きかたも上手い。体育祭の描きかたとか、どこかに遊びに行く際の描きかたとかも秀逸すぎる。学園生活のおもしろさがきちんとでている。それもいいところだけ描くのではなく、悪いところもまっすぐな視点ですっきりと解決させていく。このバランス感覚が素晴らしい。
その両輪が非常に高い位置で交わっているからこそ、ここまでおもしろい作品になっている。キャラクタも増えてきて、恋愛関係も佳境。どこまで続くかはわかんないけれども、しばらく世界観に浸かっていたいと思わせる作品。
「百姓貴族」 荒川弘 著 ウンポコ 新書館
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2008/03/08
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本当に農業従事者なら一度は考えたようなことの宝庫。そのすべてがネタになっている。土触んの嫌だ?、ウンコ汚いとかそんなことはいってられねーんだよ!!! そんなこといったら、全食糧出荷停止にして、お前らに食糧の必要性を再認識させたろか。
なーんてことを考えたことがない第一次産業従事者はいないとはいわせない。もともと荒川先生は酪農家の出身で、酪農、農業にかんしてはプロフェッショナル。ネタの精度も抜群に高いので、単行本化の際には農業従事者、非農業従事者どちらも必読でございます。偉そうなことをいっている自称グルメ野郎は一回精読して、農業の素晴らしさを再認識するがいいさwwww。
ただ、荒川先生は農家のレベルがハイレベルすぎるので、紹介されている事例がすべての農家にあてはまると思わないほうがいいかも。農業も、酪農もやっているって点で既にレアだからなぁ。
「ヒャッコ」 4巻 カトウハルアキ 著 Flex Comix(Yahoo!コミック) フレックスコミックス
- 作者: カトウハルアキ
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2008/10/16
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「あずまんが大王」や「らき☆すた」に代表されるキャラものの王道を突き進んでいる作品。最近こういう作品は多いけれども、そのなかでもキャラ造形が秀逸。
こういう作品はストーリーとか、プロットとかはいらない。どれだけキャラクタの魅力を伝えきれるかだけが勝負。そこをわかった上でカトウハルアキは魅力的なキャラクタたちを描き出していく。クラスに半数いる女の子キャラクタすべてのキャラクタをみっちりとつくりこみ、作品を仕上げているところにこの作品の凄さが垣間見えるだろう。
それにしても、この作品はキャラクタが動く動く。こういうキャラものの常で教室のなかという極めて狭い世界観しか描かれないが、そのなかでキャラクタたちがいきいきと動き回る。普通四コマで描かれている世界観をキャラクタを動き回らせることで、違和感なく各話を成立させている。
どうしても好きなキャラクタがいるかどうかが作品を好きになるかの鍵となってしまうが、キャラクタさえ好きになってしまえばしめたもの、あとは楽しむだけ。こういう作品のなかでもキャラクタ数は多く、その誰も彼もが魅力的。ネットでただ読みできるので、暇なときにどうぞ。
「トリコ」2巻 島袋光年 著 週刊少年ジャンプ 集英社
- 作者: 島袋光年
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/11/04
- メディア: コミック
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ドラゴンボール世代必読。DB世代で、今のジャンプがつまんないとかぬかしているド阿呆はこれを読んで、脳内洗い流して来い。現在のジャンプでも、これくらいのものを連載しようと思えば、連載できるんだよ。ドラゴンボール世代で現在のジャンプのアンチは多いけど、間違いなくこれだけは楽しめるというマンガ。それくらいオススメしたい。
逆にいえば、DB世代でこれを読んでつまんないなら、もうジャンプを読めなくなってしまったということかと。ジャンプを読むことはあきらめたほうが無難。懐古厨、乙。
ドラゴンボールにしてもそうだけど、こういう作品は「ONE PIECE」みたいな内容の複雑さではなく、シンプルなおもしろさで勝負しているから間口はかなり広い。「ONE PIECE」も含めて、今のジャンプ連載作品のなかで、いちばん多くの人に楽しまれる可能性を持っている作品はこれだと思う。もし、アニメ化されて、ヒットすればドラゴンボールまではいかないとしても、それなりの大ヒットになる可能性は十分にあるとすら思うよ。
現在、連載を追っている作品一覧
週刊少年ジャンプ
ONE PIECE、BLEACH、ナルト、トリコ、バクマン
週刊少年マガジン
賭博覇王伝 零、さよなら絶望先生
週刊少年チャンピオン
ギャンブルフィッシュ、弱虫ペダル、みつどもえ
モーニング
バガボンド、きのう何食べた?、GIANT KILLING、宇宙兄弟
月刊誌・隔月誌
もやしもん(イブニング)、よつばと(電撃大王)、NANA(cookie)、鋼の錬金術師(月刊少年ガンガン)、ささめきこと(月刊コミックアライブ)
基本的に週刊連載は単行本を買わずに立ち読みで済ませる方向で、月刊誌は読まずに単行本購入のものも多いです。単行本で購入しているものも含めれば、「海街diary」シリーズや「となりの801ちゃん」なんかは入るかもしれません。
最近は部屋の都合(入らない)から連載ものを買わないようにしているので、連載もので単行本を購入しているのはかなり少ないです。