芥川賞は果たして本当に早稲田が強いのか?
文学系の賞では最も知名度のある芥川賞の話。一般的には権威のある賞、まともな賞という認識が多いけれど、実は小説をたくさん読む人にとってはそこまで信頼性は高くなかったりする。
実は芥川賞は文藝春秋主催の賞なので、文藝春秋社の作品が圧倒的に強いとか。選評を熱心に読んでみると、選考委員のかたがきっちり読めていない、それどころか読んでいな…おっと誰か来たみたい。
ただいま。まぁ、そんなこんなで芥川賞、直木賞ともに小説を熱心に読み続けている人からすれば参考にするどころか、ネタにする代表くらいのものだったりする。
そんななかで浮かんだ一つの疑問が芥川賞って、早稲田が強くね、ということ。
実際5年くらい芥川賞を追っていたことがあったのだけれども、何気に早稲田出身が多いような気がしていた。記憶している限りでは東大、京大、早稲田、高卒がほとんどを占める記憶がある。出版社は古い体質なので、学閥があってもおかしくない。
ということで、ちょっと調べてみた。
芥川賞は本当に文藝春秋社の作品が強いのかをまず調べてみる
その前にちょっと小手調べ。芥川賞は文藝春秋の賞だから、文藝春秋社の作品が強いを検証してみる。ま、実際に文春が仕切っているし、候補作も大半が文藝春秋作品だから大半なのは間違いないと思うけれども。古すぎると参考にならないので、とりあえず過去20年間(1989年以降)までを参考にしてみる。
文芸誌(出版社) 回数 割合 文學界(文藝春秋社) 25回 51% 新潮(新潮社) 4回 8% 文藝(河出書房新社) 3回 6% 群像(講談社) 11回 22% すばる(集英社) 1回 2% その他 1回 2% なし 4回 8%
やはり文藝春秋社が他を引き離して多い。半分以上が文春。2位の2倍以上になっている。意外だったのは2位の講談社。実は40年で調べると新潮社だったのだが、20年で講談社が追い抜いた。
ちなみに読書家の感覚からすると、文芸の世界は文藝春秋と新潮が二大巨頭でその他がそれを追っているかたち。普通に考えれば、新潮社の作品がこんなにも少ないのは不可解。
それでも最近は話題になる回(最年少受賞)などを除けば、ほぼ一人は文藝春秋社で書いた作家が取っている現状なのでそれも納得できる。
もうこれは文藝春秋社で書かなければ、芥川賞は受賞できないと断言してもいいのではないか。
芥川賞は早稲田学閥が強いのかを調べてみる
で、本題。出版社別のほうは自信がありましたが、こっちは自信ないです。まず間違いなく東京の大学+京大で占められるのは間違いないと思うのですが。同じく過去20年分(1989年以降)で調べてみます。ちなみに中退でも、出身者に含みます。
出身大学 人数 割合 早稲田大学 8人 18% 高卒・中卒 6人 13% 大学卒(早稲田大学除く) 31人 69%
ここまではっきりと結果が出るとは思わんかった。本当は主だった大学別にしようかと思ったけれど、東大、京大を含め早稲田以外はほぼ3人以下だったので、上のように。
本当に早稲田が強い。高卒もここまで多いとは思わなかった。早稲田と高卒で30%近く。何か理由があるのか。高卒はそれだけ文学を強く志したり、貴重な体験をしているだろうから、理由はわからんでもない。それにしても早稲田がここまで強いのは謎だ。
早稲田の文学部がそれだけ優秀と考えればそれまでだけど、文学部にいっている人ばかりではないので不可解。これは文藝春秋内に早稲田学閥があるとか考えたほうが楽なんだけど、陰謀論に走りすぎなのかな。
過去30年、10年でも調べましたが、多少の増減はあるとはいえ、両者が強いのはほぼ変わらず。高卒の割合がもう少し多いことがあるくらい。
興味本位でしらべてみたけれど、ここまで特徴的な結果が出たので満足。ちなみに早稲田大学卒もしくは高卒・中卒で、文藝春秋の作品で芥川賞を受賞した人は全体の16%でした。