今回のM-1がやらせだというならば、やらせじゃない大会を生み出すほうが難しいと思われ

 オードリーが優勝だという人が多そうなので追記してみる。私、個人としては今年のM-1の優勝はNON STYLEで問題ないし、二本目のネタ選択を誤ったオードリーについては残念ながら、仕方ないというスタンス。
 問題となるのは「どういうネタを評価するか」という部分だ。似たネタで笑いをもぎとろうとしてきたNON STYLEか、新機軸をみせることで芸の広さをみせようとしたオードリーか。
 一本目については点数も笑いも明らかに多くとったオードリーのほうが一歩上なのは明らか。問題は二本目の純粋におもしろい漫才を目指したNON STYLEを評価するか。漫才師としての懐の広さをしたオードリーを評価するか。
 おもしろさを目指した漫才と上手さを目指した漫才。場が違えば、評価する対象は違う。だけれども、M-1は純粋に12月21日のあの場所でいちばんおもしろい奴は誰なのかを決める大会だった。その一点でいえば、NON STYLEの優勝は問題ないと思う。
 ちなみにオードリーは敗者復活からあがってきたものの、初めから決勝にあがるつもりだったように思う。敗者復活に選ばれたときの対応、一本目のネタをやったときの対応、二本目のネタの選びかた。二本目のあれだけ実験的なネタはいきなり連れてこられて、さぁ選べといわれてあえて選ぶネタではない。選ぶなら普通はもっとスタンダードなネタを選ぶだろう。個人的にはそっちのスタンダードなネタを選択していれば優勝したような気がする。
 あとはもう、好みだと思う。紳介さんもいっていたけれど、好みだよ。おもしろさを選ぶか、懐の広さを選ぶか。この辺りをやらせとかいっちゃったら、もうどんな大会も運営できなくなるし、それだったら自分で大会をつくるしかない。
 M-1をやらせ、やらせっていう人もいるけど、こうやってみる限りでいえば、M-1はかなりフェアな大会だよ。世の中にはフェアにみせてフェアじゃない大会がたくさんあるもの。
 M-1がフェアであることはくしくもオードリーが二年連続で上にあがり、NON STYLEと優勝を争ったことが証明していると思う。もしM-1吉本興業のやらせならば、去年を受けて敗者復活も吉本の芸人があがるようにするだろうし、それよりも最後の最後のあの三組から優勝を選ぶ場でどうやってやらせをやったっていうの? CM中に密談をしたとか、紙を回したとか? あれだけの笑いの猛者たちがそんなことをやられて黙っていると思う? 松本さんなんてそういうのをいちばん嫌がりそうなタイプにみえるし、席順からいって何票とれるって話になる。 もともとNON STYLEが優勝するような台本ができていたとか? そもそも去年はサンドウィッチマンが優勝している。去年はしなかったけど、くやしかったからやらせをするとかもあるけれど、それもどーなのよ。
 というか、やらせをするならば、金を包むよりもやりやすい方法があるよ。それは審査員を恣意的に選ぶこと。だいたい芸人の好む芸人の方向性はあるし、吉本興業くらいの企業ならばそれは大体理解している。それがわかるのだから、自分たちが優勝させたい漫才師を好きな芸人を審査員に据えればいいだけのこと。しかし、今年のM-1の審査員は去年とほとんど代わっていない。
 やらせやらせいいだしたら、こんなのはいくらでもいえるし、そんなのはつまらない。M-1なんて数ある漫才の賞のひとつでしかないんだから、視聴者である私たちはそういうスタンスでこの賞を受け止めるのがいちばんであると思う。