ナツ100に気合を入れて参加してみる。

「既に完結している10巻までの傑作漫画」
これが今回のナツ100のテーマ。
だけれども、ここには致命的な欠陥がある。
真に傑作なれば、10巻といわず、20巻、30巻と続くはず、
10巻如きでとどまるはずがあろうはずがない。
それをあえて10巻までに終わらそうとするからには
それなりの理由があるはず。
そんな作品出てこいやーーー!!!!!!!!!

 
 ということで100冊選んでみました。【暑い夏を】 漫画ナツ100 【熱い夏へ】 - 酔拳の王 だんげの方さんの企画です。ブログまでつくってしまうとは何事だ!しかもこれ以降、更新する気がないとは何事だ!
 週刊誌が総崩れなのは予想がついていたけれども、エロマンガをあれだけ入れているところに苦悩のあとがみてとれる(BLも)。後悔はしてない。マニアックなものを選ぼうなんて考えてないので、メジャーどころも多いです。実家に帰れればメンバーは変わるかもしれないけど無理なので、今のところはこの100冊で!
 巻数を書いていないものは単巻のもの。作家ごとの作数縛りはなし。スペックは男子です。少女マンガが多いのは妹の影響。レビューでは酷評もありますが、両論併記を心情としているもんで、100冊に選んだことで察していただければ、是幸い。
 
1、「王ドロボウJING」全7巻  熊倉裕一 著
2、「KING OF BANDIT JING」全7缶 熊倉裕一 著

王ドロボウJING新装版(1) (KCデラックス)

王ドロボウJING新装版(1) (KCデラックス)

 人生に必要なことをすべて学んだマンガ。大人向けならば同じような作品は多いけれど、子どもの頃に読んだ衝撃は凄かった。これは現在でも人生のバイブルのひとつ。
3、『サンドランド』 鳥山明 著
4、「Dr.スランプ(文庫版)」全9巻 鳥山明 著
SAND LAND (ジャンプコミックス)

SAND LAND (ジャンプコミックス)

 鳥山明は「ドラゴンボール」もいいけれど、個人的には「Dr.スランプ」のが好き。「サンドランド」は単巻ながらかなりまとまっていて読みやすい。旅の友に最適。何度再読しても抜群におもしろいし。
5、『WANTED!―尾田栄一郎短編集』 尾田栄一郎 著
WANTED 尾田 栄一郎短編集 (ジャンプコミックス)

WANTED 尾田 栄一郎短編集 (ジャンプコミックス)

 鳥山明とくれば、次は尾田栄一郎でしょう。尾田版デスノートを含む短編集。最後にワンピースの元となった作品が掲載されているが、それを超える作品ばかりという凄さ。どれも一捻りがきいていて、短編での上手さも感じさせる。
6、「BUZZER BEATER」全2巻 井上雄彦 著
BUZZER BEATER 2 (ジャンプコミックス)

BUZZER BEATER 2 (ジャンプコミックス)

 スラムダンクでバスケを一躍しらしめた井上雄彦の宇宙バスケマンガ。いちおうヤングジャンプに連載だけども、ネットでも読める*1スラムダンクバガボンドが桁外れすぎていまいちマイナーだけども、リアルタッチのスラムダンクとは別の魅力があっておもしろい。ちなみに全ページカラー。
7、「初恋限定。」全4巻予定 河下水希 著
初恋限定。 3 (ジャンプコミックス)

初恋限定。 3 (ジャンプコミックス)

 残念ながら打ち切りとなってしまった作品。ジャンプに打ち切りが多いのはわかっていたけれど、嗚呼、残念。恋愛マンガとしても、十分傑作といっていい作品なので、是非。できれば、媒体を変えてでもこの路線で続けていって欲しいところ。
8、「ハチミツとクローバー」全10巻 羽海野チカ 著
ハチミツとクローバー 1 (クイーンズコミックス)

ハチミツとクローバー 1 (クイーンズコミックス)

 美大学園青春ものの金字塔。何よりもあの楽しそうな雰囲気と、作者のマニアックぶりがたまらない。これだけきゅんきゅんして、笑えるマンガもそうはないかも。キャラクタのつくりかたも、人間関係のつくりかたも一級品。
9、「天使なんかじゃない 完全版」全4巻 矢沢あい 著
10、「Paradise Kiss」全5巻 矢沢あい 著
11、「下弦の月」全3巻 矢沢あい 著
天使なんかじゃない 完全版 1 (愛蔵版コミックス)

天使なんかじゃない 完全版 1 (愛蔵版コミックス)

 矢沢あい作品から3作。少女マンガを選べといわれたら、矢沢あいをいれないわけにはいかないでしょう。どれも読んだ人ならば十分納得の作品だと思われる。天ない、パラキスは青春と恋愛を描いた作品で、「下弦の月」はファンタジー
 できることならば「NANA」1巻もいれたかったが、条件にあわないので回避。単巻で読んでも十分おもしろいので、こちらも是非。
12、「恋文日和」全3巻 ジョージ朝倉 著
恋文日和 (1) (講談社コミックスフレンドB)

恋文日和 (1) (講談社コミックスフレンドB)

 ラブレターをテーマにした短編集。ラブレターといっても、普通に思いつくのは手紙を下駄箱に入れてだけなんだけど、それを広げられるだけ広げて三巻分の短編をつくりあげた。変化がつけにくいので胃もたれしそうになるが、同一テーマでこれだけ描けるのは見事。
13、「砂時計」全10巻 芦原妃名子 著
砂時計 (10) (Betsucomiフラワーコミックス)

砂時計 (10) (Betsucomiフラワーコミックス)

 ドラマ化、映画化もされた人気作。さもありなん。ここ数年の少女マンガのなかでもハイレベルに物語構成が緻密。少女時代から、結婚するまでの少女たちの青春を描いている。そこに、家族関係がからんで、物語はより緻密さを増す。10年以上に渡る物語なので、是非とも読み込んでいただきたい。
14、「プライベートアイズ」全3巻 野村あきこ 著
 「なかよし」を読んでいたときにいちばん好きだった作品。ある女子高でおこる事件解決のために、探偵が女装して解決に乗り出す話。ギャグのキレもいいし、ミステリとしても格別だし、大好きな作品。割とブックオフの100円棚にあったりするので、是非。
15、「B-ウォンテッド」全六巻 えぬえけい 著
Bーウォンテッド 1 (講談社コミックスなかよし)

Bーウォンテッド 1 (講談社コミックスなかよし)

 ドロボウもの。少女マンガのなかでも恋愛ものはハードルが高いので、それ以外のもののほうが読みやすい。まぁ、どれも恋愛要素は付加されているんですけども。ドロボウものということで、アクションあり、トリックありで楽しみやすい作品。夢水清志郎*2と三人の対決も是非みてみたいところ。
16、「ペンギンブラザーズ」全5巻 椎名あゆみ 著
 白と黒の制服の集団が対立する高校に転校してきた主人公が、学園に平穏を取り戻す話。これが少年マンガだと、拳をつかって解決とかそんなんになるんだけど、拳を使わずにどうやって解決するかが見どころ。割とエグいこともやっているのがおもしろい。少女マンガにありがちだけど、書き下ろしの5巻は蛇足。
17、「eensy-weensy モンスター」全2巻 津田雅美 著
eensy-weensy モンスター (1) (花とゆめCOMICS)

eensy-weensy モンスター (1) (花とゆめCOMICS)

 「彼氏彼女の事情」を見事完結させた作者が、そのエッセンスを凝縮させてつくりあげた中編。キャラ造形から、トラウマ、ストーリー展開に至るまで、あれだけの大作を書き上げた腕は見事なもの。下手に変化球に走らず、きっちり少女マンガをしているからかなり読みやすい。
18、『愛のために』 河原和音 著
愛のために (マーガレットコミックス)

愛のために (マーガレットコミックス)

 男子に薦めやすい少女マンガ家といわれる河原和音の短編集。河原和音は恋愛をまだしたことなかったり、意識していないキャラクタを、意識させていくのが上手い。主人公が恋愛感情に気付いたときのうわーって感覚がたまらない。
 そういえば、少女マンガ家はデビューしてすぐは短編作品を連発させて経験を積ませることが多いので、有名になってからの短編作品にも外れが無いことが多いかも。
19、「ハニィ」全3巻 桜井まちこ 著
20、「H-エイチ-」全6巻 桜井まちこ 著
H 1 (講談社コミックスフレンド B)

H 1 (講談社コミックスフレンド B)

 桜井まちこから2作。行き過ぎるとケータイ乙といわれそうな世界観をギリギリ日常を保って描いている作家。「ハニィ」は好きになった男の子には、ライバルの男の子(ゲイ)がいたというのを、純粋に恋愛として描く。「H-エイチ-」は担任になった教師がデリバリーホストのような仕事をしていた話。どちらもかなりひねった作品ながら、話を描くのは上手いし、イラストもスタイリッシュ。新作も楽しみ。
21、『Strawberry shortcakes』 魚喃キリコ 著
Strawberry shortcakes (フィールコミックスGOLD)

Strawberry shortcakes (フィールコミックスGOLD)

 ある街に生きる女の子たちの日常を描いた作品。いうまでもなく魚喃キリコの代表作のひとつ。作者出演で映画化もされました。白と黒のコントラストを用いて、日常の何気ない風景を印象的に描くのが上手い。どこかにいそうな女の子を描くのも。
22、『リバーズ・エッジ』 岡崎京子 著
23、『ヘルタースケルター』 岡崎京子 著
ヘルタースケルター (Feelコミックス)

ヘルタースケルター (Feelコミックス)

 岡崎京子の代表作から2作。どちらも今でも語り続けられるほどの伝説的な作品。当の岡崎京子さんは交通事故で未だ療養中とのことだが*3、大丈夫なのだろうか。どちらも当時の世情を映した世界観をこちらにぶつけてくる作品。岡崎京子がいまでも作品を発表していたら、どんな作品になるだろう?とはファンのあいだで何千回も繰り返された問答だろう。
24、『裁いてみましょ』 きら 著
裁いてみましょ。 (クイーンズコミックス)

裁いてみましょ。 (クイーンズコミックス)

 裁判員制度を描いたマンガ。作者は「まっすぐにいこう。」で有名なきらさん。ほのぼの路線の代表作とはうってかわって、こちらは試験的に実施された裁判員制度の担当に配属された裁判官が主人公のシリアス路線。深くえぐるところまでは書いていないけれども、裁判員制度の参考には十分な作品。
25、「茄子」全3巻 黒田硫黄 著
26、「セクシーボイスアンドロボ」全2巻 黒田硫黄 著
茄子 (1) (アフタヌーンKC (272))

茄子 (1) (アフタヌーンKC (272))

 何度読んでも読み飽きない深みがある「茄子」と、かなりひねくれた探偵ものの「セクシーボイスアンドロボ」。ちなみに「茄子」はこれまでの人生で再読したマンガのTOP3に入るかと思われる。他のマンガ家にはつくれないテンポで、独特の画をつくりだす。
27、『LA QUINTA CAMERA』 オノナツメ 著
28、『Danza』 オノナツメ 著
29、『amato amaro』 basso 著
Danza [ダンツァ] (モーニング KC)

Danza [ダンツァ] (モーニング KC)

 オノナツメは世界観の上手さと等身のコントロールが絶妙。いちおうBL出身ではあるけれども、初期の『LA QUINTA CAMERA』などもあるので、はっきりといえるかといえば微妙。オノナツメを読むときはとりあえず等身の高いものと、低いものの2作は絶対に読んで欲しい。時代劇まで扱えるとは恐れ入った*4
 ちなみにここからはBLのターン。
30、『同級生』 中村明日美子 著
同級生 (EDGE COMIX)

同級生 (EDGE COMIX)

 2008年はまだ終わっていないけれども、2008年を代表するBLといえば間違いなくこれでしょう。それまでもBLに近い作品を書いてきた中村明日美子がBL誌で本格的なBLを書いた作品。本当にスタンダードかつ直球なBLでありながらも、独創性にあふれた表現がたまらない。BL読みならば必読。
31、「キスブルー」全2巻 木下けい子 著
32、『隣の彼』 木下けい子 著
キスブルー (ミリオンコミックス85)

キスブルー (ミリオンコミックス85)

 割と丁寧なBLを描く作家さん。「キスブルー」はBLにはめずらしく複数巻の作品。イラストは羽海野チカにそっくりだが、羽海野チカさんよりも落ち着いたテイストで、ギャグはなし。本番の表現が薄いので、BL初心者にも読みやすいかも。
33、『イロメ』 草間さかえ 著
イロメ (1) (ディアプラス・コミックス)

イロメ (1) (ディアプラス・コミックス)

 雑なのにエロいとか、雑なのに萌えるとかはあると思う。草間さかえもある意味、その系譜のマンガ家。草間さかえのマンガは一見すると雑だ。だけれども、それがどんどんよさに変わり、エロのときにはエロを増幅する装置になる。カラーでは見事なだけに余計に。
34、『別れる2人の愛の劇場』 北別府ニカ 著
別れる2人の愛の劇場。 (マーブルコミックス)

別れる2人の愛の劇場。 (マーブルコミックス)

 かわいいBLではまず思い浮かぶのはこの人かな。まぁ、BLは受けがうろたえる姿が総じて萌えるんだけども、北別府ニカの場合、キャラクタが精神的に幼い場合が多いから、余計にかわいさが凝縮される。ときどき等身がちっこくなるところも余計に。そういえば等身が変わる表現はBLではあまりみかけないなぁ。
35、『KISS ME テニスボーイ』 京山あつき 著
キスミーテニスボーイ (キャラコミックス)

キスミーテニスボーイ (キャラコミックス)

 BLでエロ方面で薦めやすいのでいえばこれかと。ツボに入れば、脊髄反射で笑いが止まらなくなること必至。もう、本当にタイトルのまんまの作品です。BLとしては完全に変化球の作品ですが、その変化球加減がたまらなくおもしろい。
36、『隣の』 腰乃 著
隣りの (MARBLE COMICS)

隣りの (MARBLE COMICS)

 こちらもBLのなかでは非常にエロい作品。なんといってもペニスの描写が秀逸。BLではペニスが極端に小さかったり、竿だけだったりして、省略して書かれることも多いんですが、こちらはちゃんと大きさ、形までこだわっております。体位もこだわっていて、非常にエロい。
37、『恋の心に黒い羽』 ヤマシタトモコ 著
恋の心に黒い羽 (MARBLE COMICS)

恋の心に黒い羽 (MARBLE COMICS)

 BLのラストを飾るのはこのかた、ヤマシタトモコさん。BLはかなり短編が多いジャンルなんですが、私が読んできたなかで随一の短編の名手はヤマシタトモコをおいて他にはいない。あと限りなくBLっぽいBLを書く人です。個人的にBL作家といわれて思い浮かぶのはこの人かも。
38、『GIRL×GIRL×BOY―乙女の祈り』 KUJIRA 著
GIRL×GIRL×BOY―乙女の祈り― (アクションコミックス)

GIRL×GIRL×BOY―乙女の祈り― (アクションコミックス)

 うってかわって百合のターン。百合はいきなり変化球百合からー。タイトルどおりの女子×女子×男子の三角関係での百合を描いた作品。対立しつつも、関係を取り戻し、そのために男子が奮闘する姿はいい味を出している。男子がいなければ成立しなかった作品。
39、「少女セクト」全2巻 玄鉄絢 著
少女セクト(2) (メガストアコミックス)

少女セクト(2) (メガストアコミックス)

 現在、百合のジャンルにエロを含ませて、ほぼ唯一成功している作品。小気味よい台詞回しと、一連の関係の描きかた、百合のなかで極限まで高めたエロシーンが秀逸。だけれども、最大の魅力は、言葉を紡げば光りだすくらいに印象的なキャラクタかな。
40、『かわいいあなた』  乙ひより 著
かわいいあなた (IDコミックス 百合姫コミックス)

かわいいあなた (IDコミックス 百合姫コミックス)

 百合姫系百合における現時点での最高傑作。いろいろな百合のかたちを描きながらも、百合のスタンダードは見事に外さない。誰かに百合の世界を薦めるとすれば、まずもってこれをセレクションにいれてから、あとの作品を考えるくらいの作品。
41、『めがねのひと』 日坂水柯 著
めがねのひと (ジェッツコミックス)

めがねのひと (ジェッツコミックス)

 すべての作品がメガネしばりの短編集。ほぼすべての作品にエロを含むのだが、女性作家の為か、さほどそういった趣がないのと、百合作品を含むことからここで紹介。全体的に男女問わず読み応えのありそうな作品が多いが、元が同人誌の転載がほとんどのため、一本一本が極端に短いのが残念。
42、「あずまんが大王」全4巻 あずまきよひこ 著
あずまんが大王 (1) (Dengeki comics EX)

あずまんが大王 (1) (Dengeki comics EX)

 一時代をつくった四コママンガ。ちよちゃん、大阪、ともなどのキャラクタの影響は確実に現在に影響を与えている(特に「らき☆すた」)。内容自体はだらだらぐだぐだテイストを主にしたものでありながら、連載がリアルタイムで行なわれるなど物凄い計算された作品でもあるのが凄い。
43、「少年アシベ」全8巻 森下裕美 著
少年アシベ 8 (ヤングジャンプコミックス)

少年アシベ 8 (ヤングジャンプコミックス)

 ゴマアザラシのゴマちゃんをメインに据えた作品かと思えば、タイトルは少年アシベで、じいちゃんは金持ちだわ、父ちゃんは大工だわ、じいちゃんの会社には双子はいるわ、外人秘書はいるわ、博打好きのOLはいるわ、親友のスガオはネパールに行くわ、サルが出てくるわ、雪男が出てくるわ、根性最悪の家庭教師は出てくるわ、エセ日本語を喋るメイドはいるわでよくわからないマンガ。
44、『ちびまる子ちゃん 大野君と杉山君』 さくらももこ 著
 およそギャグ主体のちびまる子ちゃんにおいて、男の子同士の友情をテーマにした作品。映画原作のための書き下ろしなのかな。大野君と杉山君の友情の描きかたが男の友情としては直球ながら熱さを感じさせ、その合間に挟まれるまる子のギャグがいいスパイスになっている。
45、『FLIP-FLAP』 とよ田みのる 著
FLIP-FLAP (アフタヌーンKC)

FLIP-FLAP (アフタヌーンKC)

 キレの入ったギャグと、ハイテンションなツッコミのおもしろいラブコメとよ田みのるの代表作といえば「ラブロマ」だけど、最後まで読んでないので、あえてこちらをセレクト。「ラブロマ」のテイストに、ピンホールの熱さが加わって、おもしろさが何倍にも凝縮されている。
46、『モモタノハナ』 井ノ本リカ子 著
モモタノハナ (MFコミックス アライブシリーズ)

モモタノハナ (MFコミックス アライブシリーズ)

 エロマンガでおっぱいがたゆんたゆんの優しそうな年上の女性を書かれたら当代一の井ノ本リカ子の商業作品。エロマンガのときから感じていたけれど、これだけ攻撃性の薄いキャラクタを真正面から描けるのは素晴らしい。どのキャラクタものほほんとしていて、好感が持てる。
47、『げこげこ』 水上悟志 著
48、『ぴよぴよ』 水上悟志 著
げこげこ―水上悟志短編集 (ヤングキングコミックス)

げこげこ―水上悟志短編集 (ヤングキングコミックス)

 個人的に現在最注目の漫画家 水上悟志の短編集2作。どちらも蛙が普通にでてきたり、ひよこが普通に出てくるなど、特異な世界観のなかでも物語をきっちり着地させるのは見事。それもバトルものとかありがちなのではなく、彼氏が蛙になったり、ひよこが家族にいたりという変化球だから余計に。
49、『歌姫』 あき 著
歌姫 (ゼロコミックス)

歌姫 (ゼロコミックス)

 男の王と、女性の歌姫しか生まれない世界で、男の歌姫ができてしまった話。世界設定のつくりかたと生かしかたがおもしろい。シンプルでよくある設定だと思いきや、練られていて、物語の展開の仕方も見事。マイナーな作品だと思うが、読み応えは十分。
50、『スティグマ』 峰倉かずや 著
Stigma (スティグマ) (ウィングス・コミックス)

Stigma (スティグマ) (ウィングス・コミックス)

 同人出身の峰倉かずやの短編カラー作品。コストパフォーマンスは低いが、完成度は高い。荒廃したした世界観のかなで何をみつけるのかを描く。いい意味で、同人出身の人はこういう世界観を描くことが多い。おそらくあれだけの短さのなかで世界観を提示して傑作に仕上げるには、こういうのがいちばんの近道なのだろう。
51、「CLOVER」全4巻 CLAMP 著
52、「ANGELIC LAYER」全5巻 CLAMP 著
CLOVER 新装版(1) (KCデラックス)

CLOVER 新装版(1) (KCデラックス)

 「CLOVER」は公式サイトでは続刊となっていて、実際の構想では全6巻らしいが、まったくもって続きを出す気配がない*5のでいれてみた。CCさくらもあるけれど、CLAMP作品のなかで好きなのはこの2作品。CLAMPはどうにも世界観の設定を広げすぎて自壊するパターンが多いのだけれど、この2作品は安定しているのが理由。峰倉かずやに続けて出したのはもちろんわざと。
53、「人魚の森」全3巻 高橋留美子 著
54、「めぞん一刻(文庫版)」全10巻 高橋留美子 著
人魚の森 (るーみっくわーるどスペシャル)

人魚の森 (るーみっくわーるどスペシャル)

 高橋留美子の大人向け作品を二つ。なんつーか真逆の作品ですが、両方ともサンデー系の作品ともまったく違う作品。サンデー系とこの2作を読むだけで、高橋留美子の作家としての底の深さがうかがい知れる。そりゃ、ここまでの作品をいろいろ書くことが出来れば、何十年でも一線で活躍できますわな。
 「人魚の森」のシリアスさ加減も素晴らしいが、私は「めぞん一刻」のラストですべての登場人物の恋愛関係を整理しきった手腕に拍手。あれができる人はそーはいないよ。
55、「素晴らしい世界」全2巻 浅野いにお 著
素晴らしい世界 (1) (サンデーGXコミックス)

素晴らしい世界 (1) (サンデーGXコミックス)

 青春を生々しく描いた作品で評価を受ける浅野いにお出世作。ひとつひとつの作品の出来が素晴らしい。いい感じに中2病の世界観(悪い意味ではないよ)を映し出している。あの頃に戻りたいと思いつつも、心をえぐられる感じがたまらない。誰でも馬鹿なころはあったのですよ。
56、「最終兵器彼女」全7巻 高橋しん 著
最終兵器彼女 (7) (ビッグコミックス)

最終兵器彼女 (7) (ビッグコミックス)

 セカイ系について語られるときに間違いなく代表作のひとつとして出てくるくらいの作品。セカイ系のえぐみと、凄さを一点に集中させたような力強さしか感じない。後半はなんかもういつ終わっても構わない感じ、というか早く終わって欲しいという感じなのに、頂点と思われた作品のパワーを増しつつ語られるラストはまさしく号泣必至。
57、『SCAPE-GOD』 高遠るい 著
ScapeーGod (電撃コミックス)

ScapeーGod (電撃コミックス)

 セカイ系SF百合バイオレンスアクション神伝奇もの…らしい(作中解説によると)。ま、要するに神様が生贄になる話らしいです(タイトルによると)。こう並べると、どれもあっている気がするから素晴らしい。結局、これは時期的にみれば、セカイ系の極北なんだろうなぁ。ネタとしてエヴァのパロディをしているんだろうけれども、それはエヴァの影響を一身に受けていることの証明でもある。
58、『邪眼は月輪に飛ぶ』 藤田和日郎 著
邪眼は月輪に飛ぶ (ビッグコミックス)

邪眼は月輪に飛ぶ (ビッグコミックス)

 視線で生きものを殺すフクロウと、唯一対峙して生き延びた老人の話。イラストだけでいえば、変化球的な作品を書きそうなテイストだけれども、中身は直球すぎるほどの直球。米軍を巻き込んでの爺とフクロウの対決は熱いのひとことでしか語ることができない。
59、『さくらん』 安野モヨコ 著
60、『脂肪と言う名の服を着て 完全版』 安野モヨコ 著
61、『監督不行届』 安野モヨコ 著
さくらん (KCデラックス イブニング)

さくらん (KCデラックス イブニング)

 安野モヨコさんから完全に性格が真っ二つ(?)に分かれているような3作品。一つが江戸時代の花魁の話で、一つが異常に自分の身体に執着する女性の話で、もう一つが国家的ヲタクの旦那の話だもんなぁ。どれも好きですけど。
 『監督不行届』は庵野監督に興味がなければ意味なし。『さくらん』は一人の花魁の一生をすっきり描いていて、おそらく誰でも楽しめる。『脂肪と―』はレディコミですので人を選びます。
62、『失踪日記』 吾妻ひでお 著
失踪日記

失踪日記

 作者の吾妻ひでおが“実際に”失踪していた記録をマンガ化した作品。作者もいっているように本当のところはものすごくつらいのだろうが、作者が上手いのと、エピソードがおもしろいのとで、まったくそれを感じさせない。自分をここまでネタにできる手腕も見事。
63、「赤ずきんチャチャ(文庫版)」全9巻 彩花みん 著
赤ずきんチャチャ 1 (集英社文庫(コミック版))

赤ずきんチャチャ 1 (集英社文庫(コミック版))

 りぼんで連載されていたほんわかギャグマンガ。タイトルだけでは想像ができないけれど、読んでみると、相当開き直ったギャグマンガです。マンガだけしかしらない私からすれば、この作品をどうやってアニメ化したのか想像がつかない。というか、大丈夫だったのか。腹筋を鍛えたいときには是非(笑)
64、「フラワー・オブ・ライフ」全4巻 よしながふみ 著
65、『愛がなくても喰ってゆけます。』 よしながふみ 著
フラワー・オブ・ライフ (4) (ウィングス・コミックス)

フラワー・オブ・ライフ (4) (ウィングス・コミックス)

 現在を代表するマンガ家をひとり上げろといわれれば、必ず出てくるであろうよしながふみから2作品。本当はBL系統から一作出したくて、「西洋骨董洋菓子店」を読む準備をしていたのだが間に合わなかった。残念。どちらもおもしろいけれど、『愛がなくても―』のほうが単純で好き。
66、『孤独のグルメ』 久住昌之谷口ジロー 著
孤独のグルメ 【新装版】

孤独のグルメ 【新装版】

 とにかく食べまくるマンガ。主人公が実際にあるお店に向かい、料理を注文。旨い、旨い。終了。それだけで成り立ってしまうのかと思いきや、成り立ってしまうのがこのマンガの凄いところ。旨いお店の紹介にもなっており、読者のなかには実際に食べにいったこともある人もたくさんいるとか。これを読むと、マンガ表現のシンプルさと奥深さについて考えさせられる。
67、「エマ」全10巻 森薫 著
エマ 10巻 (BEAM COMIX)

エマ 10巻 (BEAM COMIX)

 本格メイド漫画。よくこれだけ本格的な漫画を書けたものだと感心する。メイドを茶化した作品は数あれど、本気で書いたマンガはこれくらいじゃないだろうか。この作品があったから、メイド喫茶は単なる妄想上の産物ではなく、ある程度地に足がついたものになっていたのかもしれない。時代考証や主従の描きかた、歴史設定などが見事などはいうまでもない、というかそこを重点的に楽しむ作品。
68、『くらしのいずみ』 谷川史子 著
くらしのいずみ (ヤングキングコミックス)

くらしのいずみ (ヤングキングコミックス)

 いろいろ問題がありながらも、幸せに暮らしている夫婦を描いた短編集。しかし、谷川史子さんが描くとどうしてこんなに幸せそうにうつるんだろう。どの夫婦もどんだけ性格が違っていても、問題があっても温かくて、いいなぁと思ってしまう部分があるんだよなぁ。
69、『ぼくんち』 西原理恵子 著
ぼくんち (ビッグコミックス)

ぼくんち (ビッグコミックス)

 最上級に過酷な状況のなかで、どれだけ幸福を見出していくかを少年の視点で描いたマンガ。姉は身体を売り、兄はヤクザに落ちていき、貧乏で金は無いのに、何故か幸せそうな家族。こんな風になりたいとは夢にも思わないけれども、こんな幸せもあるんだろうなとは思う。 
70、『夕凪の街 桜の国』 こうの史代 著
夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

 血みどろでもなく、ただ戦争はダメだと叫ぶのでもない、戦争マンガ。テレビとかだと泣かせるためだけにつくっているものもあるけれども、これはそれよりも考えさせられる作品。戦争が人々に与えたもの、核が人々に与えるものがなんなのかを丁寧な筆致で3世代を描く。
71、『恋ケ窪・ワークス』 大森しんや 著
恋ケ窪・ワークス―愛蔵版 (Motor Magazine Mook)

恋ケ窪・ワークス―愛蔵版 (Motor Magazine Mook)

 バイクの楽しさを走ることだけではなく、いじること、そして仲間と交流することという視点から描いたマンガ。仲間と葛藤しながら、バイクを走ることへの意義をつかんでいくことで、主人公がどんどん成長していく姿がおもしろい。最後のファンタジーも格別。
72、『野球狂の詩VS.ドカベン』 水島新司 著
野球狂の詩VS.ドカベン (モーニング KC)

野球狂の詩VS.ドカベン (モーニング KC)

 水島新司の代表作である野球狂の詩ドカベンのチームが誌上で対決をしてしまった作品。本作と『ドカベンVS.野球狂の詩 (ドカベンスーパースターズ編11)』が逆の視点で構成されていて、両方読むとどのタイミングで相手チームが何を考えていたのかがわかり、おもしろさが増す。読むときは2作購入必須。。
73、『名探偵夢水清志郎事件ノート そして五人がいなくなる』 箸井地図 著/原作:はやみねかおる
名探偵夢水清志郎事件ノート そして五人がいなくなる (講談社BOX)

名探偵夢水清志郎事件ノート そして五人がいなくなる (講談社BOX)

 はやみねかおるの原作を箸井地図がマンガ化した作品。同じ原作をマンガ化したえぬえけい版よりも、ミステリ的に忠実で、少々大人向けの内容。えぬえ版では多少省略してある部分も、ミステリヲタがにやりとするように書かれている。比較するとおもしろさ倍。
74、『すみれの花咲く頃』 松本剛 著
すみれの花咲く頃 (講談社BOX)

すみれの花咲く頃 (講談社BOX)

 20年近く前に書かれた作品を講談社BOXという小説メインのレーベルで復刊させた作品。なんでわざわざ復刊を?と思わないでもなかったが、なるほどわざわざ復刊させたくなるほどの傑作揃い。すべての短編のレベルが高く、割高でも気にならない。必買。
75、『鉄コン筋クリートAll in One』 松本大洋 著
鉄コン筋クリートall in one (ビッグコミックススペシャル)

鉄コン筋クリートall in one (ビッグコミックススペシャル)

 映画化もされた松本大洋を代表する作品のひとつ。性格も、行動論理も対になっているシロとクロの活躍が熱い。松本大洋さんはこういった一見シンプルな地盤の上に、複雑なものを描いていくのが本当に上手いと思う。
76、『童夢』 大友克洋 著
童夢 (アクションコミックス)

童夢 (アクションコミックス)

 大友克洋の作品は多くを読んでいるわけではないけれど、この作品で魅せる圧倒的な動きのイメージと世界観が凄まじいものがある。マンガのイラストが大友前と大友後でわけられるのもさもありなん。作画の緻密さは現在においても他を圧倒している部分があるくらい。
77、『天顕祭』 白井弓子 著
天顕祭 (New COMICS)

天顕祭 (New COMICS)

 第11回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で奨励賞を受賞した作品。ちなみに純粋な同人誌としては初*6。現代のパラレルワールドを舞台とした世界で、祭のために死にゆく一人の女性を守る大工の物語。上橋菜穂子絶賛の帯の文字がすべてを表しているかも。
78、「風の谷のナウシカ」全7巻 宮崎駿 著
風の谷のナウシカ 1 (アニメージュコミックスワイド判)

風の谷のナウシカ 1 (アニメージュコミックスワイド判)

 日本を代表するアニメ監督のマンガ。アニメは観たことある人が大勢いるとは思うが、マンガを読んだことがある人がどれだけいるか。尺の制限がないのをいいことに、アニメ版のナウシカよりも更に先までをこれでもかというほど丁寧な作画で描いている。作画の緻密さのレベルだけでも、数本の指にはいろうくらいのレベルの高さ。
79、『ブラッドハーレーの馬車』 沙村広明 著
ブラッドハーレーの馬車 (Fx COMICS)

ブラッドハーレーの馬車 (Fx COMICS)

 今年発売されて、トラウマと賛否両論を巻き起こした鬱マンガ。ネタばれは禁止なのでいいませんが、マンガを読みなれていない人は読まないほうがいいかも。本当に容赦なく描かれているので、人によってはガチでトラウマを残します。おもしろい人には最高におもしろい作品なんですけども。
80、「ドミナンス」全2巻 みうらたけひこ 著
ドミナンス 囚われの絶島編 (富士美コミックス)

ドミナンス 囚われの絶島編 (富士美コミックス)

 性奴隷を開発する淫夢会なる団体と女弁護士たちの戦いを女性視点で描いた作品。設定は超強力な媚薬で攻撃する団体と、それを精神力で対抗する弁護士たちというなんとも阿呆なマンガなんですが、それでも作画の迫力で持っていかれました。あのおっぱいはネタとしか思えないんですが、それでも作品の凄みを増すのには一役買っているかと。
81、『大和撫子00七』 野上武志 著
大和撫子00七 富士美コミックス

大和撫子00七 富士美コミックス

 野上武志といえば、「萌えよ!戦車学校」シリーズなわけですが、完結しておらず、読んでもいないのでこちらで。戦車学校シリーズでつちかった軍事ネタをフルにつかって描いたエロマンガ。濃密度では戦車学校シリーズには及ばないだろうが、おもしろさはピカイチ。シリアスではない軍事ものを書かせれば、この人の右に出るものはいないんじゃないだろうか。
82、『BEASTIE GIRLS』 さめだ小判 著
BEASTIE GIRLS (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)

BEASTIE GIRLS (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)

 エロマンガ的な総合力からこちら。『水着彼女』(ぼっしぃ 著)とも迷ったが、イラストの好みと幅の広さからこちら。ラブラブものから、無理矢理まで幅広く描き、そのすべてがハイレベル。イラストはもともとエロゲで仕事をし、雑誌の表紙を飾っていただけあって文句なしのレベル。
83、『妻漫』 西安 著
妻漫 (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)

妻漫 (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)

 エロマンガ界の巨頭 快楽天の看板作家の一人。快楽天ではロリ作品はなく、年上専門。扇情的なイラストと安定したストーリーメイクでいろんな意味で安心して読めるエロマンガ。ただ、下手にロリ作品に手を出すと劇薬なので、御注意を。かなり馬鹿馬鹿しいことをやっている作品もあるのだけれども、それでもおもしろいのは見事。
84、『SCHOOL GIRL』 大朋めがね 著
School girl (フランス書院X COMICS)

School girl (フランス書院X COMICS)

 極上にかわいい女の子の出てくる作品というのは数あれど、男の子のイラストまでかわいい作品。エロマンガで結構酷いことをされていたりもするんだけど、ページをめくるたびに可愛さが増していく。媒体の所為なのか、一話辺りのページ数が少ないのだけが不満。もっと長いのが読みたかった。
85、『時計じかけのシズク』 海野螢 著
時計じかけのシズク (OKS COMIX)

時計じかけのシズク (OKS COMIX)

 最大級に読ませるエロマンガといえばこの人でしょう。しかもエロマンガよりも、物語という意味で。それこそ、極上の物語の根っこにエロマンガという種がある感じ。少年と機械の少女のラブストーリー。ロリが苦手なかたはご注意を。かくいう私も苦手ですが、楽しく読めました。
86、『少女マテリアル』 鳴子ハナハル 著
少女マテリアル (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)

少女マテリアル (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)

 いまやエロマンガを代表する人になってしまった鳴子ハナハルさん。失楽天で補完はしていたけれど、まだ載っていないのがあるから二冊目希望。「蔵」がいちばん好きだが、雑誌掲載時とラストが変わっているはず。未完の「ネネ」も完結させていただきたいところ。
87、『海神』『海贄』『海宴』 霧恵マサノブ 著
海神  LeviAThaN (1) (セラフィンコミックス)

海神 LeviAThaN (1) (セラフィンコミックス)

 エロマンガのパワーを感じたいならばこの作品を超えるものはないかと。純粋なエロマンガのエロと馬鹿馬鹿しさで、読者を唸らせていく作品。エロマンガに他の要素をミックスさせてとかならおもしろい作品はあるけれど、エロマンガのエロのパワーを純粋抽出したという意味ではかなりの作品。
88、 「どうにかなる日々」全2巻 志村貴子 著
どうにかなる日々 (2) (F×COMICS)

どうにかなる日々 (2) (F×COMICS)

 志村貴子さんのエロマンガ。性的なものが交じり合うオトナの関係を描いた短編集。志村貴子作品からすれば、登場人物の年齢層は比較的高めなんだけど、テイストは出まくり。おもしろいんだけれども、全然エロくないです。だけども、エロマンガかといえば、エロマンガかもしれない。
89、『明日また電話するよ』 山本直樹 著
明日また電話するよ

明日また電話するよ

 エロマンガをいろいろ読んでいて、山本直樹を読んでいなかった。数あるエロマンガのなかでも非常にストイックな作品ばかり。純文学的といわれることもわかる気がする。非常に実験的で、心の何かをえぐりだすような作品集。一般誌で求められるのもさもありなん。
90、『JAPON―Japan×France manga collection』 日仏アンソロジー
JAPON

JAPON

 アンソロも可とのことなので、アンソロジーから一冊。日仏のマンガ家が揃って書き下ろしの作品を発表している短編集。題材は「日本」。日本のマンガ家の豪華さもさることながら、フランスのマンガ家には実際に日本に滞在してもらったという力のいれよう。フランスのマンガ家と日本のマンガの比較もおもしろい。
91、『凪渡り―及びその他の短篇』 高浜寛 著
凪渡り ― 及びその他の短篇 (九竜コミックス)

凪渡り ― 及びその他の短篇 (九竜コミックス)

 ヨーロッパのバンドデシネを日本のマンガに融合させた作品を発表しているマンガ家。日本のマンガの影響もみられるが、日本のマンガとはまた違った雰囲気を醸し出している。まるで絵画のようなイラストは必見。作品も純文学のような味わいで酔わされる。
92、『アンダーカレント』 豊田徹也 著
アンダーカレント  アフタヌーンKCDX

アンダーカレント アフタヌーンKCDX

 目の醒めるようなイラストと純文学のような味わいならばこちらも。旦那が失踪し、風呂屋を一人で経営する女性の物語。淡々とした作品ながらも、風呂に浸かっている彼女の描写にははっとさせられる。限りなく大人向けの作品。
93、『おもいでエマノン』 鶴田謙二 著
94、『スピリット オブ ワンダー』 鶴田謙二 著
おもいでエマノン (リュウコミックススペシャル)

おもいでエマノン (リュウコミックススペシャル)

 絵が上手い勝負に入ってこの人を出されたらもう敵なしなんだが、それでも出さないわけにはいかない。絵の上手さと、世界観の強さ、そしてSFを書かせればこの人の右に出るものは現在のマンガ界にはいない。超寡作なのが珠に瑕だが、それをもってしてもうならせる作品が魅力。
95、「自虐の詩(文庫版)」全2巻 業田良家 著
自虐の詩 (上) (竹書房文庫ギャグ・ザ・ベスト)

自虐の詩 (上) (竹書房文庫ギャグ・ザ・ベスト)

 ラストスパートに入ってきたので、ここで泣かせる傑作四コマをひとつ。読んだ人ならば、号泣必至。あれだけ不憫な目にあったとしても、2人のあいだには確実に愛が感じられる。だけど、何気に周りの人たちは酷い人たちばかりだよね。熊本さんは本当にいい人(涙。
96、『キぐるみ―BRAND‐NEW NOVEL COMIC!!』 D[di:] 著
キぐるみ―BRAND‐NEW NOVEL COMIC!! (BRAND-NEW NOVEL COMIC)

キぐるみ―BRAND‐NEW NOVEL COMIC!! (BRAND-NEW NOVEL COMIC)

 読んだ人にはここにきてここまでの変化球を出すかって感じだろうけど、選んでみた。マンガと小説の表現を完全に混在させてしまっている作品。非常に実験的ともいえるが、その部分を取り除いたとしても、作品として十分成立しているのが素晴らしい。まっとうなマンガといえないので、アウトかもしれないが、そこがおもしろいということで。
97、『ミノタウロスの皿』 藤子・F・不二雄 著
 やっぱり最後のほうには巨匠を連れてきたいよねってことで、藤子先生登場。藤子先生といえば、ドラえもんだけど、それよか短編のほうがおもしろい。子どもには読ませられない高度な毒のある作品が盛りだくさん。いつも思うんだけど、必要以上にドラえもんを賛辞している人って、絶対マンガ版を読んでないよねぇ。
98、「ミッドナイト(文庫版)」全4巻 手塚治虫 著
99、「どろろ(文庫版)」全4巻 手塚治虫 著
100、『火の鳥 鳳凰編』 手塚治虫 著
 やはりいちばん最後を飾るのは手塚治虫先生をおいて他にはいないでしょう。「ブラックジャック」のテイストをキャラクタを変えて、見事に表現している「ミッドナイト」、妖怪の世界をおぞましくも魅力的に描いた「どろろ」、これぞ傑作「火の鳥」から鳳凰編をセレクト。どんな100冊を選べといわれても、漫画である限り、手塚先生をいれないことには終われない。
 

*1:INOUE TAKEHIKO ON THE WEB内のhttp://www.itplanning.co.jp/bbimages/body.img/B0/FBEAT0.HTMLに掲載

*2:「名探偵夢水清志郎事件ノート」シリーズ えぬえけい 著/原作:はやみねかおる(「なかよし」にて連載中)より。

*3:交通事故(1996年)以降に刊行された作品は、再販か事故以前の連載などを単行本化したもの。休筆中の作家の単行本の数としては異常。

*4:さらい屋 五葉」(「IKKI」にて連載中)のこと。

*5:新装版を出したことを考えると、実質的な終結宣言とみていいのではないかと思う。

*6:元が同人で商業出版された作品ならばある。