劇的3時間SHOWでスクエニの人がマンガについていろいろ暴露しちゃっているよ

 劇的3時間SHOW:『咲-Saki-』『鋼の錬金術師』の田口浩司プロデューサーが語る、儲かるアニメの作り方 (1/6) - ITmedia ビジネスオンラインを読んだ。基本的にはコミックのアニメ化の話。驚く箇所が結構あったので、その部分をネタにしてみる。
 

鋼の錬金術師』は1冊420円なのですが、作家さんへの印税や印刷代、紙代などを支払って、出版社にいくらぐらい残ると思いますか? ざっくり言って150円です。

 とにもかくにもいちばん驚いたのがこれ。そんなことを暴露しちゃっていいのかよ。全国の漫画家さんからクレームがきかねないぞ。
 ちなみに一般的な作家の印税が約10%*1といわれているので、『鋼の錬金術師』の場合は42円くらいと推測できる(注:あくまで例であり、契約により印税の率などは変動しますので、荒川氏が一冊につきこの金額の印税を得ているとは限りません)。つまり出版社は一冊の単行本で作家の3倍の利益を得ているわけですよ。
 これはあくまでスクエニの例なので他の出版社とは違うといっても、作家さんへの印税や印刷代、紙代などがスクエニと他社で大きく違うとは思えないので、割合的にそんなに大きな違いはないと思います。つまりジャンプも、マガジンも、サンデーも同じくらい儲けていると推測できる。
 いくら販促活動や営業、テレビでのアニメ放映に掛かる制作費や赤字作品の補填に必要だといっても、これだけの費用が必要なのかと思わないでもない。もっと節約できるんじゃないかな。
 いやでも、あれだけ雑誌に作品を抱えていて、雑誌自体が赤字であろう少年ガンガンならばこれくらいの費用が必要なのかな。細かい計算をしてみないとわかんないけれども、先行投資も含めれば、これくらいの費用は必要なんだろうな。
 

両作品(『咲-Saki-』、『バンブーブレード』)ともに、キャラクターを男くさく書くと、いわゆる“スポ根もの”になります。30代から40代の世代が昔から見てきたスポ根ものを今風の設定、つまり美少女キャラに置き換えただけの物語だから(当たる)と言っても過言ではないと思います。
(中略)
どこかのバスケットマンガで聞いたことがあるような設定ですが、そこに美少女キャラを乗っけることによって、単純に美少女ものであるというだけではなく、作品が厚みが与えられ、キャラクターたちそれぞれのドラマも作りやすいというわけなのです。

 ここはなるほどなーという印象。よくある話をキャラクタを入れ替えて描けば、新しい視点がみえる。「けいおん!」は微妙だけれども、部活動ものはそういった作品が多い。まぁ、美少女バトルアニメなんかも同じ路線だろうし。
 これだけ作品が多く発表されているなかで、まったく新しい作品を生み出すのは難しいのはわかりきっているから、あとは従来あるものの組み合わせと、そこからどうやって新しいものを描き出すかの勝負をするしかないんだろうな。
 腐女子向け作品なんかの傾向も分析するとおもしろそうだ。田口氏は腐女子向けは「分からん」といってしまっているけれども。テニプリや大振りから考えれば、視点がみえてくるかもしれない。
 

僕はそれまでU局を使ったことはなかったので、「キー局でやらないと怖いよ。当たらないよ」と言ったのですが、U局を主張する人たちには経験則があったのです。
涼宮ハルヒの憂鬱』や『灼眼のシャナ』はU局で放送して、それがYouTubeニコニコ動画にアップされることによって全国の人が見て、結果的にDVDや原作の売り上げが伸びました。
(中略)
これはネット社会になって、皆さんがそういったものを見れるからこそできることなのですが、リスクを最小限に抑えた1つの新しいビジネスの形かなと思っています。

 これは予想通りだったけど。ニコニコやYouTubeにアップされることは想定済みらしい。それにしてもこれを読む限り動画投稿サイトに作品をアップしたとしてもキー局のアニメは削除されやすいけど、U局はされにくいよ。とも読めるんだけれどもどうなんだろうか。実際にそうなっているような気もするけれど。
 ハルヒなんかは積極的に出ているし、ここにも書いてあるけれども、DVDの売上や原作の売上まで考えたときにネット配信は悪い手段じゃないんだろうな。もっと公式でネット配信してくれればいいのに!
 
 その他、コミックのアニメ化について刺激的な話を具体的な数字を出して語られてますので、その辺りに興味がある人は必読です。

*1:一般的にいわれる代表的な印税率。もちろん作家により上がったり、下がったりします。というか、10%も貰っている作家はほぼいないらしい。